Cartesian Review
デカルト5レンズ系統的分析
原則:デカルト『方法序説』(1637)—「疑い得ないもの以外は何も真として受け入れない。」 4規則(明証・分析・総合・枚挙)+方法的懐疑で全ての前提を検討する。
デカルト4規則 ↔ 5レンズマッピング
| デカルト規則 | レンズ | 核心質問 |
|---|---|---|
| 枚挙(Dénombrement) | L1 加えると良いもの | 「抜けなく枚挙したか?何が欠けているか?」 |
| 明証(Évidence) | L2 加えると良くないもの | 「不明確なものを真実として受け入れていないか?」 |
| 総合(Synthèse) | L3 除くと良くないもの | 「単純なものから複雑なものへ順序付けられているか?構造の核心は?」 |
| 分析(Analyse) | L4 除くと良いもの | 「問題を最小単位に分割したとき、不要なものは?」 |
| 方法的懐疑(Doute) | L5 異なる視点 | 「このすべての前提が間違っていたら?まったく別の文脈で見たら?」 |
実行手順
STEP 0 — コンテキスト把握(30秒)
レビュー対象を読み、以下を確認する:
1. 文書タイプ分類(下記ドメイン検出を参照)
2. 文書の1次消費者特定(Generator?ユーザー?エージェント?)
3. 核心目的を1行抽出
4. L5外部視点を自動選択(下記ルールを適用)
ドメイン検出 → L5視点自動選択
ハーネス開発依頼書 → 「これを実装するGeneratorの立場」
ハーネス設計成果物 → 「Evaluator 5大柱評価視点」
コード・システム設計 → 「6ヶ月後にこのコードを引き継ぐ開発者」
事業企画・戦略文書 → 「投資家/実行担当者同時視点」
ポリシー・規約・コンベンション → 「規約に従わなければならない現場担当者」
教育・ガイド文書 → 「この分野を初めて扱う外部者」
計画・ロードマップ → 「計画が失敗したときに事後分析する人」
一般文書 → 「この文書の目的に反対する批判的レビューア」
STEP 0.5 — L5懐疑範囲確認(ユーザー確定必須)
L5(方法的懐疑)が懐疑する範囲を、レビュー開始前にユーザーが明示的に選択する。 この選択がL5の動作方法を決定するため、STEP 1の前に必ず尋ねる。 ユーザーが既に意図を表明している場合(例:「目標はそのままにして」「アジェンダから再検討して」)、その意図を採用し、1行で再確認するのみとする。
質問(ユーザーにそのまま提示)
L5(方法的懐疑)の懐疑範囲を選択してください:
A. プロセス限定(基本推奨)
- ユーザーの目標・アジェンダ・レビュー依頼意図は固定(懐疑対象外)
- L5は「その目標を達成するための現在のプロセス・アプローチ・構造」のみを懐疑
- 出力の「根本的再検討」は「目標は同一、アプローチのみ異なる経路」に限定
- 適切な場合:目標が確定しており、実行品質をレビューするとき
B. 上位前提を含む
- ユーザーの目標・アジェンダ自体も懐疑対象に含める
- 「この目標は別のものであるべきではないか?」まで質問可能
- 出力は目標の再定義・転換・中止提案まで含むことができる
- 適切な場合:アジェンダ自体が仮説段階、または事前検証が目的のとき
記録・運用ルール
- 選択結果を出力最終フォーマットヘッダーに明記:
L5懐疑範囲:A(プロセス限定)| B(上位前提を含む) - A選択時:分析中に目標自体に欠陥が見えても否定・反論せず、 「ユーザー確認必要前提」 別セクションに分離報告する。目標否定結論をL5出力に直接書かない。
- B選択時:目標否定・再定義・転換結論をL5出力にそのまま含めることができる。
- harness Evaluator自動呼び出し時:自動的にAに固定する(生成成果物検証であってユーザーアジェンダ検証ではない)。
- ユーザーが明示的な選好なく即時進行を要求した場合、Aをデフォルト値として適用し、その旨を1行で通知する。
STEP 1 — L1・枚挙(加えると良いもの)
「何も取りこぼさないように枚挙し、全体を検討したことを確信せよ」
核心質問
- 目的達成に必要なのにないものは?
- 1次消費者が知らないと誤って判断する情報は?
- このドメインで当然あるべきなのに欠けているものは?
- ハーネススキルなら:Should NOT trigger、テストシナリオ、ドメインフレームワークはあるか?
出力
| 項目 | 根拠 | 優先順位 |
|---|---|---|
| (欠けているもの) | (なぜ必要か) | 高/中/低 |
STEP 2 — L2・明証(加えると良くないもの)
「明晰かつ判明に私の精神に現れるもの以外は真として受け入れるな」
各レンズは前のレンズの結果を見ずに独立分析する。偏り防止。
核心質問
- 明晰でなく、かえって混乱を招くものは?
- 1次消費者の自律的判断を阻む過剰仕様は?
- あると文書が長くなるが成果物品質に貢献しないものは?
- ハーネス依頼書なら:Generatorが自ら決定すべきことを事前に決めてしまっているものは?
出力
| 項目 | なぜ有害か | リスク度 |
|---|---|---|
| (追加すべきでないもの) | (具体的害悪) | 高/中/低 |
STEP 3 — L3・総合(除くと良くないもの)
「最も単純で認識しやすいものから始め、複雑なものへと進め」
核心質問
- これがないと核心目的が達成されないものは?
- 以前の議論・合意の結論が含まれているものは?(除くと文脈が失われる)
- システムの不変原則・法的要件・安全装置に該当するものは?
- 他の要素が依存する基盤要素は?(除去で依存要素も崩れる)
出力
| 項目 | なぜ必須か | 重要度 |
|---|---|---|
| (必ず維持すべきもの) | (除去時の結果) | 核心/重要/補助 |
STEP 4 — L4・分析(除くと良いもの)
「検討する問題をうまく解決するため、可能な限り小さな部分に分割せよ」
核心質問
- 核心原則が既に含まれているため重複しているものは?
- 1次消費者以外の対象(運用者・作成者)のための説明が誤って含まれているものは?
- 文脈なしに読むと方向性を曖昧にする詳細実装事項は?
- 今あるが成果物品質に実質的に貢献していないものは?
出力
| 項目 | なぜ冗長か | 除去効果 |
|---|---|---|
| (除去すべきもの) | (具体的理由) | 明確性↑/簡潔性↑/混乱↓ |
STEP 5 — L5・方法的懐疑(異なる視点)
「すべてを疑え。疑い得ないものだけが真である。」
STEP 0で自動選択された外部視点+**STEP 0.5でユーザーが選択した懐疑範囲(A/B)**で分析する。
懐疑範囲の分岐
- A(プロセス限定):外部視点は「ユーザー目標はそのままにして、この目標を達成するための現在のプロセス・アプローチ・構造が正しいか?」を問う。
- 4段階の「まったく別の方向」は 「目標は同一、アプローチのみ異なる経路」 限定で解釈する。
- B(上位前提を含む):外部視点はユーザー目標・アジェンダ自体も懐疑する。4段階の「まったく別の方向」は目標再定義・転換・中止提案まで含むことができる。
実行
- 選択された視点を明記:「この分析は {視点} の視点で、懐疑範囲 {A|B} で進行します」
- その視点でL1~L4の結論のうち覆るものを探索
- その視点が発見する新しい空白・リスクを探索
- その視点が「これはまったく別の方向へ進むべきだ」と言うなら?(A/B分岐解釈を適用)
- Aで目標自体の欠陥が見えたら → 「ユーザー確認必要前提」セクションに分離報告
出力
視点:{自動選択された外部視点}
懐疑範囲:{A | B}
この視点で見つかるもの:
- L1~L4の結論のうち覆るもの:...
- 新しい空白:...
- 再検討が必要なポイント:
· A選択時:現在のプロセス・アプローチの再検討ポイントのみ記載
· B選択時:プロセス+目標・アジェンダ再定義提案まで記載
(A選択時のみ、該当がある場合)
ユーザー確認必要前提:
- 分析中に目標自体に対して見つかった疑問点(否定・反論ではない)
STEP 6 — クロス分析および実行結論
5つのレンズ結果をクロスする。
クロス分析3軸
[L1 × L4 抵触]
加えたいもの(L1)と除去すべきもの(L4)が同じ領域にかかっているか?
→ 解決:「追加するが別の方法で」または「既存のものを改善」
[L2 × L3 境界]
追加禁止(L2)と除去禁止(L3)が同じ項目にかかっているか?
→ 緊張点:あっても有害、なくても有害なもの → 形式変換を検討
[L5 反転]
方法的懐疑がL1~L4のうちどの結論を覆すか?
→ 覆された結論は「条件付き適用」または「前提再検討」で処理
実行優先順位マッピング
即時(今回の作業): L1高 + L4高 の項目
次のステップ(計画): L1中 + L5発見の空白
長期/保留: L1低 + L2リスク度低
触るな: L3核心 全体
出力最終フォーマット
# Cartesian Review — {文書名または対象要約}
**L5選択視点**:{自動選択された外部視点}
**L5懐疑範囲**:{A(プロセス限定)| B(上位前提を含む)}
**レビュー目的**:{1行要約}
---
## L1・枚挙 — 加えると良いもの
| 項目 | 根拠 | 優先順位 |
|---|---|---|
## L2・明証 — 加えると良くないもの
| 項目 | なぜ有害か | リスク度 |
|---|---|---|
## L3・総合 — 除くと良くないもの
| 項目 | なぜ必須か | 重要度 |
|---|---|---|
## L4・分析 — 除くと良いもの
| 項目 | なぜ冗長か | 除去効果 |
|---|---|---|
## L5・方法的懐疑 — {視点名}(懐疑範囲:{A|B})
この視点で覆る結論:...
新しい空白:...
再検討が必要なポイント:...
- A:現在のプロセス・アプローチのみ(目標は固定)
- B:プロセス+目標・アジェンダ再定義まで
(A選択時のみ、該当がある場合)
**ユーザー確認必要前提**:分析中に目標自体から見つかった疑問点(否定ではない確認依頼)
---
## クロス分析
- **L1×L4 抵触**:...
- **L2×L3 境界**:...
- **L5 反転**:...
## 実行結論
| 優先順位 | アクション | 根拠レンズ |
|---|---|---|
| 即時 | ... | L1/L4 |
| 次のステップ | ... | L1/L5 |
| 触るな | ... | L3 |
Should NOT Trigger
- 単純な事実確認(「この日付は合ってる?」「このコードを実行して」)
- 創作・文章作成リクエスト(レビュー対象がない場合)
- 既に結論が出て同意のみを求める場合
(「これで大丈夫ですよね?」→ 単純確認リクエスト)
- 情報検索の質問(「LlamaIndexって何?」)
- 10行未満の短いメモ(過剰分析)
harness-designer-workspace統合
harness-designer-workspace v4の Evaluatorフェーズ(Phase 3) でこのスキルを呼び出す。
統合方法
Evaluatorが5大柱評価(15項目)完了後、PASS判定(90点+)の直前に実行する:
[Evaluator Phase 3 追加手順]
3-1. 5大柱評価(既存)
3-2. スコア分岐(既存)
3-2.5. PASS判定時 → Cartesian Review実行 ← 新規
- レビュー対象:Generator成果物全体(CLAUDE.md + AGENTS.md + プロトコル)
- L5視点:自動選択 → 「ハーネス設計成果物」→ Evaluator 5大柱視点
- 目的:5大柱がPASSでも見逃した実用的欠陥を検出
- 結果を3-5(Layer 2構造最終議論)の前にユーザーに報告
3-3. 再検証ルール(既存)
harness Evaluator呼び出し時のL5固定視点・範囲
harness成果物レビュー時、L5は常に:
「このハーネスを初めて受け取り、実際に運用しなければならないエージェントの視点
— CLAUDE.mdだけを読んで直ちに作業を始めなければならない場合、何が妨げになるか?」
また、L5 懐疑範囲は常にA(プロセス限定)に固定する。STEP 0.5のユーザー質問は自動呼び出し時は省略する。 理由:検証対象はGenerator成果物であり、ユーザーアジェンダ・目標ではない。 A運用中に目標自体に疑問が見えた場合は「ユーザー確認必要前提」セクションに分離報告し、ハーネスフロー結果処理段階に渡す。
統合後harness Evaluatorフロー
Generator完了
↓
5大柱評価(15項目)
↓
スコア分岐
├─ 70点未満 → Planner再設計
├─ 70~89点 → Generator再作業
└─ 90点+ → Cartesian Review実行
↓
クロス分析報告
↓
Layer 2構造議論
↓
ユーザー最終承認
使用例
単独使用
ユーザー:この開発依頼書を /cartesian-review して
Claude:[SKILL実行 — 5レンズ分析→実行結論出力]
harness統合自動呼び出し
[harness Evaluatorが90点+判定後]
Claude:Evaluator評価完了(92点)。
Cartesian Reviewを追加実行し、実用的欠陥を検討します。
[SKILL実行]
→ L1:テストシナリオがありません(高)
→ L4:CLAUDE.md草案が依頼書に重複記述されています
→ L5:エージェント視点 — "/ingest実行時にraw/ファイルタイプ判定失敗ケースの処理がありません"
Layer 2構造議論に進む前に、これらの項目を反映しますか?
デカルト『方法序説』(Discours de la Méthode, 1637)4規則に基づく harness-designer-workspace v4.1 Evaluator統合対応